Homeニュースニュース一覧(2007)2007年8月30日
UNHCR ニュース速報
UNHCR親善大使アンジェリーナ・ジョリー、イラク難民の苦境と勇気に耳を傾ける
難民にインタビューするUNHCR職員に同席するアンジェリーナ・ジョリー親善大使。ダマスカスのUNHCR受け入れセンターにて。
© UNHCR/M.Bernard
UNHCRシリア(29日)発:

 UNHCR親善大使のアンジェリーナ・ジョリーは、29日、イラクとシリアへの初めての訪問を終え、イラク難民たちの驚くべき回復力と勇気にふれた。

 イラクの紛争によって故郷を追われた人々は400万人以上にのぼるが、そうした人々の苦難を直接聞きたいという願望をかなえようと、ジョリー大使は27日ダマスカスにあるUNHCRの登録センターを訪れ、難民が故郷でいかに心締め付けられるような体験をしたかを耳にした。誘拐や殺人未遂を逃れ、日々をなんとか生きながら未来への希望を持とうとする人々もいた。

 ジョリー大使は政治的訪問ではないとしながら、イラク人道的危機に関心が払われなければならず、各国政府もUNHCRやパートナー機関に対する支援を拡大すべきだと語った。UNHCRの推定によれば、現在イラク人420万以上が故郷を追われており、そのうち200万人が近隣諸国へ、220万人がイラクで国内避難民となっているとみられている。

 ジョリー大使は、28日にはイラクにあるアルワリード(Al Waleed)仮設キャンプを訪れた。傷んだテントが立ち並ぶ殺伐としたこの地域では、水道も電気もなく、連日の砂漠の猛暑から一息つくこともできない。病気の子どもたちや年老いた難民と多くの時間をすごしたジョリー大使は、難民1300人が抱える子どもたちのためにUNHCRが建てている学校の建設現場を視察した。

 ダマスカスへの訪問では、10代のイラク人男性たちが働くことも学校に通うこともできず、過酷な未来に直面する苦難が特に印象的だった。

 27日未明、ニューヨークからの夜行便を降りると、ジョリー大使はすぐにUNHCRの登録センターを訪れた。そこでは毎週イラク人約2500人の登録が行われ、そのうち四分の一近くの人々が暴力や拷問の犠牲になっていた。

 難民としての地位を証明する文書があればUNHCRの医療・食糧支援を受けることができる。またUNHCRは制服の支給や金銭的な支援を行うことで、イラク難民の子供たちが再び学校に通うことができるように支援している。

 ジョリー大使は子供たちの遊び場に腰掛けて、イラクの子どもたちと好きなおもちゃの話をした。なかでもザハラ(Zahara)という名のイラクの女の子に引きつけられた。ジョリー大使自身が養子にしたエチオピア人の娘と全く同じ名前だった。

 また、ジョリー大使は登録担当官が難民に対しておこなうインタビューに同席した。今回は誘拐未遂を危うく逃れ、バグダットから避難した父親とその家族のインタビューだった。今や貯金は底をつき、クリーニング屋でアイロンをかける仕事をする17歳の息子のわずかな収入に頼って生活している。

 インタビューの後、ジョリー大使がその家族が住む小さな借家を訪れると、そこでは生後8か月の赤ん坊から67歳まで13人が一部屋に暮らしていた。かつてこの大家族が暮らしていたバグダッドの家は広々としていた。そう語る女性の話を、自身も4児の母親である彼女は一心に聞き入っていた。今は子どものおしめを買う余裕さえないという。

 「こんな状況でどうやって子供たちの面倒をみたらいいかなんて、私には想像もつかない。」ジョリー大使はそう女性に語りかけた。

 ダマスカスにはセイダ・ゼイナブ(Seida Zeinab)という混雑した地区がある。ここではシリア人やイラク人も民族や宗教を問わず隣り合わせに穏やかに暮らしている。靴を脱いだジョリー大使の近くに座った男性は、イラクで虐待され、火をつけられ、置き去りにされたイラク人の若者だった。ダマスクスに逃れてきてからは彼もUNHCRの支援をうけている。

 この地域の難民をよく訪れるコミュニティ・サービス担当官にマイ・バラジ(Mai Barazi)という職員がいるが、ある男性は担当官に会えることに非常に興奮していた。しかし、その横にいる訪問者が世界的な有名人であるということには気づかず、おそらくファッションモデルかなにかだと思ったにすぎないのだろう。

 別の家庭を訪れたときに出会ったのは、バグダッドで頭を撃ちぬかれて視力を失った17歳の少年だった。成績優秀だった彼は、コンピュータエンジニアになる夢をあきらめなければならなったことが悲しいと語った。ジョリーは彼になんとか救いの手を差し伸べる方法を探すと約束した。

 「盲目でも素晴らしいことを成し遂げた人たちが過去にはたくさんいる。」こう少年に語り、何かを学んだり達成したりする望みを決してあきらめてはいけないと言った。しかし悲しいことにこの少年は不治の盲目であることを受け入れられず、ジョリー大使は、「きっと私が言ったことは彼には伝わっていないだろう」と後に付け加えた。

アルワリードキャンプで難民の子どもと話すアンジェリーナ・ジョリー親善大使 © UNHCR/M.Bernard

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