私とUNHCR

難民誌22号(2002年8月号)より抜粋

 

柏 富美子 (かしわ ふみこ)

UNHCRチェコ・プラハ事務所
アソシエート・プログラム担当官

国連就職への憧れ

大学時代の知人にUNHCRでJPOとして勤務していると伝えると、必ず「意外だ」と驚かれる。私自身、フェリス女学院大学在学中は、国連の活動は自分とは遠い世界にあり、数年後JPOに応募するとは、全く想像もしていなかった。

大学卒業後は、商社で買い付け・輸入の仕事を2年半ほど担当し、海外出張など貴重な経験を積ませてもらった。そうして色々な国の人々と仕事をするうちに、国際社会でキャリアを積みたいという思いが増し、留学を考えるようになった。しかし当初は「留学後は国連に就職」と漠然と憧れてはいたものの、どの分野での仕事かなど明確なビジョンに欠けていたように思う。そんな私が、難民とUNHCRに興味を持つようになったのは、留学準備中の1998年、クロアチアにあるボスニア難民キャンプで、ボランティアとして現地NGOの活動に参加したからだ。視野を広げたいという単純な動機からだが、キャンプで生活した1か月間は気づきと学びの連続だった。難民との出会いから、自分がいかに世界の出来事に無関心であったかを気づかされ、また、彼らの温かい心と勇気に常に励まされた。そして「私たちのことを忘れないでほしい」というメッセージを胸に、将来は難民支援に携わりたいと考えるようになった。

意識しはじめたJPOへの応募

その後、UNHCR東京事務所でボランティアをし、難民の状況とUNHCRの活動について学ぶ機会を得た。ちょうどこの頃、UNHCR職員(元JPO)から、外務省のJPO制度について聞き、国連機関就職への道としてJPOへの応募を意識するようになった。留学先の米国ジョージタウン大学大学院では、自分の興味が深く、卒業後のキャリアにも役立つよう、人道援助政策と難民問題を専門に学んだ。夏休みにはボスニア・ヘルツェゴビナのUNHCR事務所で3か月間インターンを行い、実践的な経験を得た。

そうして私がJPOに応募をしたのは、大学院一年目の終わり。専門分野とインターンの経験を踏まえ、応募時からUNHCRへの派遣を希望した。先輩から助言をいただき、緊張の面持ちで臨んだニューヨークでの面接。後日、合格通知が届いた時は、やっと出発点に立ったと興奮を覚えた。今思えば関連分野での職務経験がない私にとって、実際に現場でインターンをしたことが、JPOの選考過程でもプラスに働いたように思う。 プラハ事務所へ UNHCR本部との面接を経て、アソシエート・プログラム担当官としてUNHCRチェコ地域事務所への2001年12月付けの赴任が決まった。赴任までは、半年ほど再びUNHCRの東京事務所でインターンを行った。その間、UNHCRの組織やプログラム担当官としての基本的な知識、またJPOとして仕事をする上での助言などを職員の方から伺った。赴任後、特別な研修もなく、すぐに仕事にとりかかったことを考えると、インターン中にこのような機会に恵まれ、非常に幸運であったと思う。

プラハ事務所は、私を含めて国際職員3名、現地職員6名と比較的小さい。私はそこで、チェコ国内のロマ人を対象にした援助計画注を担当している。ロマ人コミュニティーで活動するNGOや個人のプロジェクトを支援するほか、政府や国際機関への働きかけを行っている。また、予算管理や支援プロジェクトの選択、モニタリングや評価、レポート案の作成を任されている。JPOとはいえ、プロとしての仕事を求められていると痛感し、責任と何よりやりがいを感じている。

プラハ事務所のJPO受け入れは私が初めて。その上、担当する援助計画は新しく試験的なもので前任者もいない。そうした状況に正直なところ、着任当初は戸惑いもあった。しかし、事務所の代表をはじめ、経験豊富な同僚らの心強い支援のおかげで、試行錯誤しつつ、あっという間に半年が過ぎた。しかし、まだまだ学ぶことは沢山ある。先輩の助言を心に留め、正規職員をめざしてJPOの残りの期間をいかに過ごすかを考え、これからも積極的に仕事に取り組み、経験と実績を積みたいと思う。

最後に、JPOをめざす方に一言。JPOに必勝法などないが、先輩の助言は大変参考になる。積極的に情報を収集し、またボランティアやインターンとして実際に希望する機関で活動してみることだ。組織についての理解を深め、自分の関心や目的を明確にできる。これは、JPOへの応募のためだけでなく、国際社会で仕事する上で非常に重要ではないだろうか。

 

注:ロマ人は、主に欧州で非定住生活を営む民族。以前は「ジプシー」という侮蔑的・差別的意味を含む名称で呼ばれ、その多くが差別の対象になってきた。UNHCRは、ロマ人のチェコ国内での社会・経済的状況の改善と差別廃止に貢献し、最終的には彼らの変則的な海外流出を予防・削減することをめざしている。

 

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