難民庇護申請の数が2001年時より半減

ジュネーブ発(3月28日) -
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、2010年の先進諸国44カ国※1への難民申請者数の統計を発表した。これは、2010年中に、新たに難民申請
をした数であり、難民として認定(保護)されたものではない。先進諸国における難民申請者数は、減少傾向にあり、2001年時のほぼ半数であった。
UNHCRのまとめによると、35万8800人が難民申請を果たし、前年比で約5%減少した。この10年間で最も多かった2001年の62万人と比べる
と、42%の減少となる。
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、「難民庇護の世界情況は変化している。先進諸国全体における難民
申請の数は、10年前より半減しているが、一握りの国々への申請は増えている。出身国において難民が発生する要因が減ってきたのか、あるいは、受け入れ側
の庇護国における入国審査が厳格化しているか」 この減少要因が何であるか検討する必要があると述べた。
地域別で分析すると、ヨーロッパ、北アメリカ、アジア北部を含め、世界全体として減少傾向である。ヨーロッパ南部では、マルタ、イタリア、ギリシャにおける
難民申請が少なくなり、前年比33%減である。同時に、ドイツ(49%)、スウェーデン(32%)、デンマーク(30%)、トルコ(18%)、ベルギー
(16%)、フランス(13%)などは、増加傾向にある。北欧諸国では、デンマークやスウェーデンへの増加を見ながら、ノルウェー(-42%)、フィンラ
ンド(-32%)などは大幅に減少している。地域別では、オーストラリアのみ、8,250人が申請し、33%増となっているが、世界全体では減少傾向であ
ることには変わりない。
国別の傾向では、アメリカでは5万5500人が申請し、5年連続で最大の難民申
請受理国となった。先進諸国へ難民申請をした6人に1人はアメリカで行ったことになる。そのアメリカは、6,500人の増加であり、中国やメキシコ出身者
などの増加によるものである。2位となるフランスは、セルビア、ロシア、コンゴ出身者が多く、47,800人が申請した。3位のドイツは、セルビア、マケ
ドニアなどからの申請増により、全体で49%の増加となった。セルビアとマケドニアからの増加傾向は、欧州(EU)連合がユーゴスラビア諸国へのビザ免除
措置が2009年12月から行われたことも要因となる。4位スウェーデン、5位カナダと続く。この統計に記されている半数以上が、この上位5カ国の難民申
請者である。
興味深いのは、ここ10年で最大の申請者数
が発生したのは、コソボ危機が発生した直後の2001年であった。アフガニスタンは9%減少で第2位、前年はノルウェーや英国への申請が多かったが、
2010年には、ドイツやスウェーデンが申請先の多数を占めた。イラクやソマリア出身の申請者が激減したことを受け、中国出身者は全体の3位となった。例
年上位を占める、イラクに関しては、2005年以来、初めて4位となり、5位ロシア、6位はソマリアと続く。
グテーレス国連難民高等弁務官は、最近のコートジボワールやリビアにおける緊急事態を例に挙げ、「難民を多く受入れているのは依然、開発途上国であり、自らの大きな課題に直面しなが
ら、リビア、チュニジアやエジプトなどが隣国として難民へ門戸を開き続けている。」と、国際社会に対して、支援を要請を呼びかけた。
グラフは こちら でご確認ください
“Asylum Levels and Trends in Industrialized Counties 2010 (2010年、先進諸国における難民庇護傾向)”(英文)は こちら
※1 UNHCRの統計では、27のEU加盟国のほか、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、アイスランド、リヒテンシュタイン、モンテネグロ、
ノルウェー、セルビア、スイス、マケドニア・旧ユーゴスラビア共和国、トルコにおける難民申請の数字と傾向が分析されている。アメリカ、カナダ、オースト
ラリア、ニュージーランド、日本と韓国も対象国である。